株式投資をしていると、「過去に大きく下がった株を買えば、そのうち反発して儲かるんじゃないか?」と考えたことはありませんか?
実はこれ、投資の世界では「リバーサル戦略」と呼ばれる立派な投資手法なんです。
過去のリターンが低かった(下がった)銘柄は、将来リターンが高く(上がる)なるという「平均回帰」の現象を利用しています。
特に日本の株式市場では、「下がった株を買い、上がった株を売る」という逆張り(リバーサル)が、1ヶ月程度の短い期間でよく効く(有効性が高い)と言われています。
しかし、この戦略には弱点もあります。
それは「相場全体がイケイケで上がっている時(景気拡大局面)」には、うまく機能しづらい(収益性が落ちてしまう)ということです。
そこで、そんなリバーサル戦略の弱点を補い、どんな景気の時でも安定して利益を狙えるように改良されたのが、『合成予測手法』です。
合成予測手法の仕組み
この手法は、一つの情報だけに頼るのではなく、性質の違う複数の情報をミックス(合成)して、将来の株価を予測しようというアプローチです。
具体的には、以下の3つのような情報を組み合わせて予測を立てます。
- 過去の株価の動き(リバーサル):「直近で下がったから、次は反発して上がるだろう」という予測。
- 企業の稼ぐ力(PER:株価収益率):「企業の利益に対して、今の株価は割安だから上がるだろう」という予測。
- 世の中の物価の動き(IFL:インフレ率):「消費者物価指数などのマクロ経済の状況から見て、株価はこう動くだろう」という予測。
どうやって合成するの?
予測を合成する計算方法も、実はとてもシンプルです。
複数の指標を組み合わせるとき、「重回帰分析」という複雑な統計モデルを使うと、データ同士が干渉し合って(多重共線性)、現実離れしたエラー(誤差)が出てしまうことがあります。
そこで、この合成予測手法では、それぞれの指標が弾き出した「将来の予測値」を、単純に平均(MEAN)したり、中央値(MEDIAN)を取ったりして、一定の割合で組み合わせるだけなのです。
この手法の最大のメリットは、「景気の良し悪しに左右されにくくなること」です。
これは「集合知」の考え方に似ています。
集合知「牛の体重当てコンテスト」
1906年にイギリスで行われた品評会で、800人近い参加者が牛の体重を予測しました。
専門家も一般人も参加していましたが、個々の予測はバラバラでした。
しかし、すべての予測の平均値(1197ポンド)を計算したところ、実際の牛の体重(1198ポンド)とわずか「1ポンド(約450g)」しか違わず、どの個人の予測よりも正確でした。

この法則には注意すべき点もいくつかあります。
- 一般人が「的を外さない程度の、大まかな知識や感覚を持っている」必要がある:
各自が全くの手探り(ランダムな推測)である場合や、世の中に誤った情報が蔓延している場合は、平均しても間違った結論に向かってしまいます。 - 群集心理による失敗:
インターネットなどの口コミやSNSのトレンドでは、他人の意見に引きずられやすいため「独立性」が失われやすく、極端な意見に偏ることがあります。
この集団の知恵(集合知)は、現在ではAIの予測システムやアンサンブル学習などの機械学習モデルの基礎としても応用されています。
今回の合成予測手法も、それぞれの手法はおおよその目安となる価格帯を算出可能であり、かつそれぞれは独立しているため、集合知により予測精度の向上が期待できます。
合成予測手法の有用性
先ほど、単純なリバーサル戦略は「景気拡大局面」に弱いとお伝えしました。
しかし、この合成予測手法を使って「PER(株価収益率)」や「IFL(インフレ率)」といった、企業の業績や経済全体を表す指標の予測値をミックスすると、景気拡大局面でもパフォーマンスが大きく改善することが研究で実証されています。
さらに、景気が後退している時や低迷している時でも、投資の効率(シャープレシオ)がアップし、どんな局面でも安定して利益(超過収益)を狙えるようになるようなのです。
ではこの手法が本当に現在の日本株式において有用かどうかを検証していきましょう。


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